産業医の所得税・消費税の取り扱いについて

協力会社のケーティーエムジー株式会社のクラウド導入支援サポート(人事労務freeeの登録支援)の際に、給与システムに「産業医」の方が登録されておりました。

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産業医なのに、なぜ給与システムに掲載されているのか?と疑問に思い調べたところ、国税庁の次の質疑応答事例を確認しました。

【照会要旨】

医療法人が、事業者との間の契約に基づき、病院の勤務医をその事業者の労働安全衛生法第13条に規定する産業医(一定規模以上の事業所で選任しなければならないとされている労働者の健康管理に当たる医者)に選任して派遣した場合に、病院がその対価として事業者から委託料の支払を受ける委託料は課税の対象となるのでしょうか。

(注)個人の医師が事業者から支払を受ける産業医としての報酬は、所得税法上は原則として給与に該当するものとして取り扱われています。

【回答要旨】

医療法人がその勤務医を産業医として派遣した対価として受領する委託料は、医療法人のその他の医業収入となるものであり、課税の対象となります。

なお、開業医(個人)が事業者から支払を受ける産業医としての報酬は、原則として給与収入となり、消費税は不課税となります。

【関係法令通達】

 消費税法第2条第1項第8号、第12号

質疑応答事例は消費税に関するものであり、所得税の取り扱いではないですが、実務的にはこの運用を利用することになるのでしょう。

しかし、産業医は雇用契約ではなく、業務委託契約を締結することが一般的ではないかと思います。また、質疑応答事例に記載のとおり、「原則として」の記載があります。

税務上の取扱いとして,給与収入なのか事業所得なのかは、契約形態ではなく実態に基づき判断することとなります。

例えば,個人の開業医と業務委託契約であったとしても、委託元の企業が職場訪問の頻度や拘束時間などを指定する場合などは、産業医側に裁量等がないと判断されると思われます。また、委託契約としての実態を確認することが難しい場合には、雇用契約に基づく報酬とみなされて、企業側に源泉徴収の必要性が生じる可能性があります。

産業医を配置しなければならない企業は、源泉所得税の漏れや消費税の仕入税額控除の取り扱いに注意をしなければならないですね。