暗号資産の税務について(番外編)

暗号資産と総称されていますが、最近は資金決済の手段以外にもブロックチェーン技術を活用したプログラム・システムが開発・運用されています。

今回は、ETH(Ethereum:イーサリアム)のみが決済手段として利用できる店舗へ訪問しました。

店舗は、その名もCrypto BAR P2P(https://cryptobarp2p.io/)です。店内はNFT(Non Fungible Token)の話題で盛り上がっています。

店内には、二種類の機械装置が展示されていました。

1つ目は、こちらの特定のNFTを利用したゲートです。この仕組みについては興味があったので実物を見ることができ貴重な体験ができました。

この機械装置を利用したビジネスができないかな?と考えました。

昨今の格闘技界のチケット情報をみるとリングサイド席100万円や300万円などが販売されておりますが、魅力ある興行であればSOLD OUTになっています。しかし、どの興行でもこのような価格がつくことは稀です。

少し昔の話になりますが、人気チケットは会場の傍で、こっそり売買されていたことがあり、転売が社会問題の1つとして話題になったこともあります。

そこで、適正な転売システムがあれば、社会インフラとして機能するのではないか?ということです。具体的には次のようなことです。

・ブロックチェーンを利用すれば、転売の履歴を追うことができる。
・転売した価格履歴を把握することで、その興行の適正な市場価格が把握できる。
・転売した価格差額の一部を興行主のフィードバックすることができる。

2つ目は、NFTを利用した鍵を利用したケースです。ケースの中には高級ウィスキーが保管されており、指定されたNFTを利用すれば施錠が解除され、中の高級ウィスキーを飲むことができます。この鍵はネット環境下で利用されているため、遠隔地からも施錠を解除できます。

NFTをパズル化して、パズルが完成したらBOXがオープンできるGAME利用もできるかな?と考えたりしました。

ポイントは、次のような感じかなと考えていました。

・遠隔地での施錠が可能
・特定のNFT利用者しか施錠できない。
・施錠の履歴や鍵の譲渡履歴がブロックチェーンで管理できる

さてさて、このようなことを思っていると、新しいお客様が入れ替わり立ち替わりどんどん入店されて来ます。

その中で、PENTAというListen and Earn Music Playerを開発しているエンジニアとお話をする機会がありました。音楽×ブロックチェーンの取組をしている方でした。

興味深く伺っている中、ずっとジュースを飲んでるし、お話する雰囲気から“何歳の人かな?”と思い年齢を聞いてみたところ「16歳です!」との返答に一同ビックリ!

“さらに会社はどこにあるの?”と質問してみたところ、「ドバイです!」との返答!

さらにビックリ!!!

2023年度税制改正のニュースに、経団連をはじめとした暗号資産の課税の見直しのニュースがあります。内容は「経済成長のカギを握る創業間もないスタートアップの海外流出を防ぐため、企業自身が発行して保有する暗号資産について、期末時価評価課税の対象から外すこと」があります。

※参考 https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/079_gaiyo.pdf

その背景として、現在の税制では、法人が暗号資産を保有している場合は、暗号資産が法定通貨に資金化されていなくても決算期末に時価評価され1年間の所得計算をすることとされています。そのため、暗号資産の発行時の価格が決算期末の価格より高額が場合には、含み益が生じるため納税資金が不足する可能性があります。

これらの理由から、暗号資産を保有するスタートアップ企業は経営安定化のため、海外に法人を設立して技術開発することを選択しているケースがあります。

このニュースの内容を体感した瞬間でした。

日本の情報技術の競争力は依然として高いポテンシャルがあります。しかし、税制面の問題や新しい技術を理解して会計・税務の相談できる人材不足などが、日本経済の発展の要因になっている可能性があると感じ、より一層の学びが必要と感じた夜でした。